引きこもるという情熱

引きこもり論の名著 『引きこもるという情熱』待望の再刊!

2026年2月5日刊行予定 新刊 ジャンル:社会・教育

■引きこもるという情熱

著 者 芹沢 俊介
発行者 イノセンスの会
四六判並製 
定価1,980円(本体1,800円+税10%)
ISBN 978-4-910972-05-3 C0036

付録として「引きこもりの家族学」を収録
解説:高岡 健

引きこもり現象を、外からみえる姿だけで、つまり他者関係からの撤退という観点だけで説明できるようには思えないのです。引きこもりには、目に見えないもう一つの撤退の段階がある、そのように想定する必要があると思えるのです。撤退の目に見えないもう一つの段階とは、自己からの撤退です。自己からの引きこもり、といってもいいでしょう。そして私の理解では、この自己からの撤退、自己からの引きこもりという段階にいたった引きこもりだけが正しい引きこもりなのです。(本文より)

【著 者】
芹沢 俊介(せりざわ しゅんすけ)1942 年生まれ、2023 年没。
評論家。1969 年『試行』にて「北条民雄」でデビュー、1973 年には初の文学論集『宿命と表現』(冬樹社)を出版。以降は家族問題を中心に事件、宗教、サブカルチャーなど幅広く論じた。単著・共編著ともに多数。

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引きこもるという情熱【目次】
 
この本を読むために 

Ⅰ 引きこもり現象の背景
第一章 引きこもりの社会心理学的背景
三つの背景
〈人は人、自分は自分〉という倫理
自己領域化現象について
高学歴化と教育家族
青年期
成人期への猶予
モラトリアムの空洞化

第二章 社会的引きこもり観の限界 
学校引きこもりと社会的引きこもり
これまでの「社会的引きこもり」観
引きこもりへの外挿法的接近
フリーターという緩衝帯
自在性の喪失と居場所の喪失
〈自分らしさ〉とは何か
自己からの引きこもり­­—自己間関係からの撤退
内部に組み込まれた教育的他者

第三章 引きこもりの危機Ⅰ 引きこもり引き出し人
引きこもり引き出し人の思想と行動
「第三項排除」という論法
「待つ」から「押し出す」へ
「見守る」という姿勢

第四章 引きこもりの危機Ⅱ 社会的自立論について 
人生の無駄遣い三つの「引き出し」方法
「子ども部屋が原因」という俗説について
親の接し方の失敗
危機回避の心的メカニズム

Ⅱ 正しい引きこもり 引きこもりにはプロセスがある
第五章 引きこもりの往路 引きこもりのプロセス1 
引きこもりのプロセス
引きこもりの往路
「戻れコール」のシャワー
見えない内部の敵
	
第六章 滞在期について 引きこもりのプロセス2
滞在期で過ごす時間
「囁き人」のスタンス
安心で安全な場所の保証

第七章 自己領域と帰路について 引きこもりのプロセス3 
滞在期から帰路へ	
自己領域とはどんな場所か
古い自分の死
新しい自己の誕生
人それぞれの籠もり方
自己領域に籠もれなかった引きこもりの話
帰路につけない引きこもりの話
「パラサイト・シングル」は悪くない

Ⅲ 具体例を考える
第八章 女性が引きこもるとき
引きこもりと性差
外からの刺激への恐怖
滞在期を支えた二人
対関係の成立

第九章 引きこもりを生み出す環境 〈教導する父〉の問題 
「生まれ直し」というテーマ
Y子さんの場合
引きこもりの要因—環境としての父
引きこもりの要因—環境としての母
引きこもりの要因—「いい子」という期待の重さ

第十章 引きこもりの意味 撤退と退行 
撤退と退行
去勢化の完成体としての「いい子」
意志的行為としての拒食
リビドーの三段階の歴史
退行における願望の内実
結婚生活の破綻
自己領域に籠もることの承認

Ⅳ 引きこもりの失敗
第十一章 引きこもりと暴力正しく引きこもることの大切さⅠ 
引きこもりの「物語」
人格障害とは何か
引きこもりと回避性人格障害
事件と引きこもり
引きこもりの失敗と暴力

第十二章 正しく引きこもることの大切さⅡ—西尾市十七歳ストーカー殺人事件
自己改造という自己像母への思慕の二重化
引きこもる勇気
自己同一性の不全

あとがき 186

付録
引きこもりの家族学
引きこもりは自己からの撤退である
引きこもりの往路、滞在期、帰路
侵入的でないかかわり
正しい引きこもりを阻むもの
社会的自己に責められる
十分に籠もれなかった
息子の自殺—父の「手記」から
「手記」の中の父親への違和感
違和感を突きつめる
引きこもりたいのに引きこもれない
子どもをわかりすぎる親などいない
解説  高岡 健
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